きてけろ山形 〜最上・村上編~
1. はじめに
山形県を庄内地方(旧酒田県)、最上・村上地方(旧山形県)、置賜地方(旧置賜県)の3つに分けて、おすすめの観光地を紹介する。今回は最終回として最上・村上地方を取り上げる。
2. 最上・村上地方
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2-1. 観光地
A. 山寺 (山形市)
「閑(しずか)さや岩にしみ入る蝉の声」
松尾芭蕉が山寺を訪れた際に詠んだ、奥の細道に収録されている有名な句である。蝉が騒がしく鳴くなか、山寺の雰囲気に心を落ち着かせた芭蕉の心理を描いている。
山寺(正式名称:宝殊山立石寺)は、860年に清和天皇の勅願により建立された天台宗の寺院である。周囲に木々が生い茂る1015段もの石段を上ると多くの伽藍が存在する。五大堂からは、眼下に広がる景色を一望できる。
往復1.5時間ほどを要する険しい石段の道であるが、途中には石像やお堂などが所々あり非常に雰囲気がよい。また、下山した後にお土産屋で食べる玉こんにゃくがたまらなく美味しい。登山後の一休みに是非ご賞味いただきたい。
参照URL:「閑かさや」の句に秘められた真実 | NHKテキストビュー
B. 徳良湖 (尾花沢市)
徳良湖は、オートキャンプ場や、サイクリングコース、テニスコート、グラウンドゴルフ場などが整備されているため池である。近くには、「徳良湖温泉花笠の湯」という日帰り入浴施設もある。
さて、東北三大祭りというと仙台七夕祭り、秋田竿灯まつり、青森ねぶた祭りであるが、東北四大祭りといったときに残り一つに滑り込んでくるのが、山形の花笠まつりだ。そして、その有名な花笠まつりが生まれた地は、ここ徳良湖と伝えられている。
徳良湖は1921年(大正10年)に新田開発の目的で建設された。その築堤工事に携わった地域の若者が、数人掛りで石を持ち上げ堤にたたきつけるという作業をしている際、お囃子に合わせるように、また時には日焼けや雨除けのためにかぶっていた笠を使って踊ったことが、花笠まつり誕生の由来と言われている。
時代は流れ、1953年(昭和28年)に山形市の祭りで花笠まつりが披露されると、知名度が急上昇。1955年(明治30年)からは「山形花笠まつり」として単独で行われる毎年恒例の祭りとなった。一見するとただのため池であるが、その歴史を知ると見る目が変わってくると思う。
参照URL:花笠まつり — 山形県ホームページ
C. 銀山温泉 (尾花沢市)
駅に貼られた観光宣伝用のポスター「いくぜ東北!冬のご褒美」を通じて銀山温泉を知った方も多いかもしれない。雪が降り積もる温泉街の写真は、多くの人々に「冬の温泉街=銀山温泉」というイメージを植え付けた。
銀山温泉は、その名の通りもともとは銀山の街であった。1456年に銀が発見されると年々採掘量は増加し、最盛期には岩見銀山・生野銀山とともに日本の三大銀山と呼ばれるまでに成長した。しかし、江戸時代初期にあたる1631年をピークとして採掘量は減少し、1689年には閉山となった。
その後、銀山は「銀山温泉」として発展することになる。湧出量の減少や大洪水などの紆余曲折はあったものの、湧出量の再増加や、山形新幹線の開通によるアクセス性向上などにより、現在は大正ロマンが漂う風情ある温泉街として、山形を代表する観光地となっている。
参照URL:名所 旧跡 延沢銀山遺跡 - 尾花沢市
D. 関山大滝 (東根市)
日本全国には約2500もの滝(落差5メートル以上)があるといわれているが、山形県は全都道府県の中で最も多い230もの滝を有する「日本一の滝王国」である。そして、滝王国山形の中でも近年パワースポットとして注目を集めているのがこの関山大滝だ。
関山大滝は水量が多く非常に迫力がある。一方、滝と反対側(下流部)に目を向けると、一転して穏やかな河原が広がっている。このような変化に富んだ自然こそが、関山大滝がパワースポットと呼ばれる所以かもしれない。
なお、関山大滝は国道48号沿いにある「大滝ドライブイン」から階段を下りればすぐという好立地だ。近くにお越しの際には是非お立ち寄りいただきたい。
参照URL: 日本一の滝王国山形|やまがたへの旅
E. かみのやま温泉 (上山市)
山形県は「日本一の滝王国」であるのと同時に、県内全ての市町村に温泉が湧き出す「温泉王国」でもある(いくつ王国があるのか…)。その中でも上山市は、城下町・宿場町・温泉街という3つの顔を兼ね備える全国的にも珍しい都市だ。
上山には室町時代から城が建てられ城下町として発展していた。1458年、旅の僧が上山を訪れた際、足に傷を負った鶴が足を水に浸したところ傷が癒えて再び飛び立った様子を見て温泉を発見したと言われている。
温泉が発見された後、羽越街道を利用する武士向けに温泉宿が建てられ、温泉宿場町として発展した。その後、江戸時代初期にあたる1625年に、初代上山藩主松平重忠が温泉を下大湯公衆浴場に流すことを許したことから、庶民にまで温泉文化が広がった。
参照URL:かみのやま温泉 開湯555年 — 山形県ホームページ
F. 蔵王 (山形市)
山形旅行を締めるのは、やはり山形観光の王道である蔵王がふさわしい。
温泉地として年度宿泊利用者数(325,202人)、湧出量(6733リットル/分)ともに山形県1位であり、歴史も開湯1900年と県内で最も古い。泉質は強酸性の硫黄泉であり、酸性度の高さは秋田/玉川温泉と並び全国トップクラスである。硫黄臭も強く、蔵王温泉で使ったタオルは数回洗濯しても硫黄の香りが消えないほどである。
そんな蔵王温泉に露天で入ることができる日帰り入浴施設が、蔵王温泉大露天風呂だ。同時に200人が入浴できるという広さで、手に触れられる距離で隣に川が流れていおり、とにかく開放感がすごい。
また、雄大で美しい自然も蔵王の大きな魅了の一つだ。蔵王を訪れた際には是非お立ち寄りいただきたいのが、鴫の谷池沼(しぎのやちぬま)である。周囲1.5キロメートルの小さな沼には遊歩道(1周50分ほど)が整備されており、例年4月下旬から5月上旬には水芭蕉、5月中旬からはレンゲツツジ、10月中旬から10月下旬には紅葉が見ごろとなる。遠方に蔵王の山々を一望しながらの散歩は非常に気持ちがいい。蔵王の自然を感じることができるおすすめスポットだ。
参照URL:蔵王温泉 — 山形県ホームページ
参照URL:お肌に効果的!強酸性と強アルカリ性の温泉TOP5 | 温泉JAPAN
3. おすすめの観光ルート
これらの観光地を回るルートは以下の通りである。全行程を通じて、比較的車で走りやすい道が続く。
↓🚗(30分)
A. 山寺
↓🚗(60分)
B. 徳良湖
↓🚗(15分)
C. 銀山温泉
↓🚗(60分)
D. 関山大滝
↓🚗(50分)
E. かみのやま温泉
↓🚗(30分)
F. 蔵王
↓🚗(30分)