きてけろ山形 ~置賜編~
1. はじめに
山形県を庄内地方(旧酒田県)、最上&村上地方(旧山形県)、置賜地方(旧置賜県)の3つに分けて、おすすめの観光地を紹介する。今回は第2回として、置賜地方を取り上げる。
2. 置賜地方
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2-1. 地域の特徴
置賜地方は南を福島県に接する山形県南部の地方(地図の緑)である。代表的な都市としては米沢市・南陽市・長井市などが挙げられる。盆地であるため一日の気温差が大きく、冬季は豪雪地帯として知られている。
参照URL:おきたま観光ポータル 南の山形 たまには おきたま 旅紀行
参照URL:イザベラ・バードからのメッセージ
2-2. 観光地
A. 峠駅 (米沢市)
峠駅はその名の通り、福島~米沢間にある板谷峠(標高624メートル)の峠地点にある駅である。古くから福島への抜けるための山道の難所であり、鉄道の敷設にあたっては、鉄道路線として日本最大級の勾配と豪雪地帯という気候が大きな障壁となった。
峠駅にはそれらの対策として設置された「スイッチバック」と「スノーシェルター(雪囲い)」という設備が遺構として残されている。また、開業当初(1901年)から現在まで、近隣の「峠の茶屋」の売り子が電車の到着時間に合わせてホームに現れ、電車の窓越しで峠の力餅の販売を行っている。新幹線に乗ると一瞬で通過してしまう駅であるが、その独特の雰囲気と歴史を感じる佇まいは鉄道ファンでなくても一見の価値がある。getnavi.jp
B. 姥湯温泉 (米沢市)
室町時代の1553年に開湯した歴史ある温泉。赤褐色の岩肌が露出する山の中に突然現れ、大自然を感じながら温泉に入ることができる"the秘湯"。離れていてもつんと鼻に香るほどの硫黄泉で、入浴後には保湿&保温効果を感じる。日帰り入浴(9:30~15:30)も楽しめるので、峠駅を訪れた際はぜひお立ち寄りいただきたい。なお、姥湯温泉の名前の由来がとても興味深いので以下に引用する。
鉱山師だった初代が鉱脈を求めて山々を渡り歩いているとたまたまこの地へやって来た。
すると露天風呂に髪の長い女性が湯浴みしているではないか。
こんな山奥で女が湯浴みとはと驚き、おそるおそる近づけば、なんと、赤ん坊を抱いた恐ろしい形相の山姥であった。
思わず逃げ腰になると、山姥はそんな因果な山師などやめて、この湯の湯守にならんかいと云い残し、赤ん坊もろとも山姥の姿はどこかえ消えてしまったという。
それ以来、この湯を姥湯と名づけ、現在に至ると言い伝えられております。
桝形屋 公式HPより引用 http://www.ubayuonsen.com/about/about.html
C. 上杉家御廟 (米沢市)
初代上杉謙信公から12代の斉定公までの歴代上杉家当主の墓所。
上杉家の廟所が米沢にある理由については少々説明を要する。上杉家の領地は元々は越前であり、米沢は”独眼竜”伊達政宗の領地であった。しかし、2代目景勝の時代に豊臣秀吉の命により上杉家は米沢を含む会津120万石に封ぜられ、代わりに伊達家は岩出山(現在の宮城県)に転封となった。その後、上杉家は関ケ原の戦いで石田三成に味方したため、徳川家康により会津120万石から米沢30万石に大幅減封されたのである。
この廟所で特に参拝客に人気があるのは、始祖謙信公と10代藩主の鷹山公だ。鷹山公は養子として藩主の座に迎え入れられ、困窮する藩財政を回復させた名君である。かのアメリカ大統領J.F.ケネディが、日本で最も尊敬する政治家として鷹山公を挙げたことでも知られている。
上杉家御廟では、運が良いとボランティアスタッフの方がこういった歴史に関して詳しく説明してくれる。米沢の歴史を知るためにもぜひ訪れてほしい場所だ。
D. 小野川温泉 (米沢市)
米沢の中心地から南西に9kmの距離にある米沢の奥座敷。名前の「小野」は、小野小町が父親の行方を捜して東北を旅している最中に病で倒れ、この小野川温泉で身体を癒したという伝説が由来と言われている。泉質はラジウムと塩分を多く含む硫黄泉。鷹山公の時代にはこの泉質を活かし、藩財政立て直しの試みの一環として、温泉から塩を生産していたという過去を併せ持つ。
静かで趣のある温泉街にはゆっくりとした時間が流れており、心と身体を癒すことができる。生産毎年6月中旬~7月下旬には、天然のほたるを楽しむほたる祭りが開催される。
参照URL:https://www.chuokai-yamagata.or.jp/onogawa/index.html
E. 瓜割石庭公園 (高畠町)
「モン○ターハンターに出てきそう」と友人が例えるほど、ゲームのような非現実な空間が広がる公園。かつては高畠石という石の採石場であり、長い年月をかけて石が人為的に切り出されたことから、このような奇岩が生まれた。現在はバーベキューやコンサート会場としても使用されており、岩壁をスクリーンとするようなユニークなライブも企画されている。
F. 高畠ワイナリー (高畠町)
米沢市に接する東置賜郡高畠町はブドウの栽培が盛んであり、特にブドウの品種の一つであるデラウエアに関しては、栽培面積・生産量ともに日本一である。そのブドウを用いて「高畠ワイン」というブランドのワインが製造されており、ワイナリーとしては東北No.1の出荷量を誇る。
ワインのほかにも地域の特産品を多数取り揃えており、旅行の最後にお土産を買う場所として適している。試飲をしながら買い物を楽しめるほか、ワインの製造ラインの見学もできる。
3. おすすめ観光ルート
置賜地方は観光地が米沢付近に集中しており、比較的移動がしやすい。ただし、A.峠駅とB.姥湯温泉は米沢中心部から車で1時間弱離れており、すれ違いができないような細く険しい山道が連続するため運転には注意が必要だ。効率的に回れば1泊2日で足りるだろう。
米沢駅
↓🚗(50分)
A. 峠駅
↓🚗(40分)
B. 姥湯温泉
↓🚗(1時間20分)
C. 上杉家御廟
↓🚗(15分)
D. 小野川温泉
↓🚗(40分)
E. 瓜割石庭公園
↓🚗(15分)
F. 高畠ワイナリー
↓🚗(20分)
米沢駅
≪次回、最上&村上地方編につづく≫